田んぼ脇の「村の森」で勉強会。涼しくてよい。
タンザニアでは、人口の8割が農村で暮らしている。私のキリマンジャロでの仕事は、タンザニア人の同僚とともに、そんな農村に住む農民や農業普及員に、農業生産を改善して、生活が楽になるよう勉強してもらうことだ。
政府の財政難で、公務員の新規採用はストップされ普及員は高齢化が進んでいる。農業普及のための予算も十分でない年が続いてきた。そのため、普及員の意欲は急激に低下し、農民は政府の普及サービスに期待しないという、好ましくない状況になっている。
お金をかけずに普及活動を活性化させるというのが、今のところ唯一残された道である。そこで、わがK研修所普及・農民研修班では「村の勉強会」という、「農民の、農民による、農民のための普及活動」、という商品を売り出し中だ。農民が自分たちの問題に気付き、問題解決の方法を考え、情報も自分たちで探しに行く、という方向転換である。その実現のためには、「待ってるだけじゃ何も起きない」、ということ同時に「あなたたちにも何かが出来る」、という自信を持ってもらうことが大事なポイントだ。普及員向けには「農民に教えるという考えは捨て、農民のサポーターになろう」、というキャッチフレーズで呼びかけている。
さて、村の研修会。始まる時間に農民が集まらない、普及員がいつのまにかいなくなっちゃうこともある。勉強会はあくまで農民が主体だが、長老は話し出すと長い、出来そうにないことを言う、村人の前で、ここぞとばかりパフォーマンスをしたがる。恥ずかしがり屋の女性農民が多いが、家族内の役割分担では、男たちのわがままを堂々と指摘するおばさんもいる。そんなやり取りを、面白い展開だなあと眺めていると、「ところでそこの日本人、日本はいったいわれわれに何をしてくれるんだね」と振ってくる農民がでてきたりする。「さあ、みんなで一緒に頑張ろう。道路や水路はみんなで労働を提供しあって整備しよう。お金が必要なら毎年米を2俵づつ出し合おうじゃないか。」などと、涙が出るようなことが話し合われ、そのあと半年経っても何も起こらないこともある。
こちらが期待してないようなハプニングの連続であるが、小さな変化の起きつつある村もある。やれば暮らしが変わるというきっかけを見つけた村だ。普及員や農民リーダーが一生懸命だったということが幸運だったのかもしれない。市場が近くにあるというよい条件を持っていたのかもしれない。しかし、このような成功例をこつこつと作っていくのが、わがK研修所普及・農民研修班の使命なのだ。(き)