キリマンジャロの日曜日
No. 6 「おばさんの露天商」
2002年4月21日

PICTURE.JPG - 93,178BYTES
(おばさんの露天は、結構繁盛している)

Copyright 2002 The Shiratoris

 ダウンタウンから離れた我が家の近く、三つの道路が交わるところに、雑貨を売る露天商がぽつんとある。50代くらいのおばさんが、時々息子や孫に手伝ってもらいながら、切り盛りしていて、朝8時ごろから夕方6時くらいまでが営業時間だ。毎朝一家で自宅から車輪つきの陳列ケースを引いてやってくると、鉄枠の棚、木のテーブル、そしてキャンパス地の屋根を木の柱と鉄棒で支え、瞬く間にちょっとした商店に仕上げてしまう。
 売っている商品は、果物、野菜、揚げパン、塩、卵、飴、ミネラルウォータ、ピーナッツ、ポテトチップスなどの食料品から、靴下、ぞうり、髪留め、テーブルクロス、電球、オイルランプの替え芯といった家庭用品まで幅広い。
 町の中心地では、果物や古着を売る露天商が歩道を埋めつくしていて、それぞれが単品をあつかい薄利多売で商売をしている。おばさんの露天は、家でちょっと足りなくなったものを買いにくる主婦と、家に帰る途中の中学生や勤め人を相手にしている。だから、品数は多いが値段は街中に較べて少し高い。
 住宅街の中には商店も点在するが、おばさんのような露天業者が、だいたい1キロおきくらいにある。元手をそれほどかけずに商売ができる、商売の適地を求めて移動ができる、という2点が露天業の魅力であろう。それにもうひとつ、歩道での商売は、お客との距離がとても近い。歩行者が通り過ぎる時に「おいしそうなアボガドだなあ」とか「そういえば家の石鹸が切れかかっていたなあ」とか、その気にさせてしまうのが露天である。繁盛の秘訣は、お客のニーズをうまくつかむことと、常連さんとのコミュニケーションにあるとみた。
 町の商店では、治安を考慮して品物は、たいていの場合鉄格子のむこう側にある。開放的な露天商を見ると、いつもほっとさせられるのである。(き)